翡翠(ヒスイ輝石)の化学式は、「NaAlSi2O6」です。
ナトリウム(Na)、アルミニウム(Al)、ケイ素(シリコン)(Si)、酸素(O)の4元素によって翡翠は構成されています。
この4元素は地殻に含まれる元素です。
元素とは、すべての生命や物質の性質を表したものです。
たとえば、二酸化炭素は炭素(C)と酸素(O2)の元素で作られ、翡翠は上の4元素によって作られています。
それをアルファベットや式で分かりやすくしたものが化学式または分子式です。
地殻とは、地球の一番上の表層部です。
地球は、中心に核があり、その上にマントルがあり、さらにその上に地殻があります。
つまり、地球は核・マントル・地殻の三層構造になっています。
リンゴをイメージすると、わかりやすいかもしれません。
丸いリンゴが地球で、リンゴの種の部分が核で、実がマントルで、皮が地殻です。
地殻は酸素(O)・ケイ素(Si)・アルミニウム(Al)・鉄(Fe)・カルシウム(Ca)・ナトリウム(Na)・カリウム(K)・マグネシウム(Mg)・チタン(Ti)で構成されています。
この9種類の元素だけで全体の重さの99%になります。
酸素(47%)とケイ素(28%)だけで地殻全体の75%を占めます。
酸素とケイ素の他に翡翠を構成する元素のアルミニウムとナトリウムも地殻に含まれる元素ですので、翡翠は地殻のありふれた元素でできています。
つまり、翡翠は珍しい元素で構成されているわけではありません。
では、ありふれた元素でできているにも関わらず、翡翠の産出が稀なのは何故なのでしょうか。
それは翡翠ができる条件が特殊だからです。
翡翠の元である純粋なヒスイ輝石は無色です。
このヒスイ輝石に微量の鉄(Fe)やクロム(Cr)が混入すると、翡翠にお馴染みの色である緑色になります。
また、ヒスイ輝石に微量の鉄(Fe)やチタン(Ti)が混入すると、青紫色になります。
ちなみにネフライトの化学式は、「Ca2(Mg,Fe)5Si8O22(OH)2」です。
カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、シリコン(Si)、酸素(O)、水酸化物(OH)で構成されています。
化学式の観点で見ても、ネフライトと翡翠(輝石)は全く別物であることがわかります。